#001 / 黒塗-Never Land' I-

1/15
前へ
/79ページ
次へ

#001 / 黒塗-Never Land' I-

 そうして私たちは居場所をなくし、太陽のない世界を彷徨うことになる。  空は白い。  靴裏を叩くアスファルトの感触は硬くて、歩き続けることすら億劫になってくる。  立ち止まる、雑踏の中。  通り過ぎていくおおきな背中たち。  声と雑音の渦に拒絶され、そんな壁に囲われて。  ……ああ、どうして私が。  立ち尽くす子供はひとりだけ無色で。  ……どうして私だけが、誰にも愛してもらえないのだろう?  よくある悲劇の名目のもと。  有象無象に埋もれた私たちは、次第に輪郭を失っていく──。          -Neverland' I-
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加