#005 爆音-MetalxHeart'-

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「ううあぅあぅあ~」 「お、お、お、お~」 「ん……んぅ」  俺とアユミと美空は三人並び、マッサージチェアにぐりぐりされていた。  至福。  湯上がりの体に疑似指圧マッサージがとことん効く。 「ねぇ羽村、ミックスジュース買ってきて」 「自分で行け。なぁアユミ、コーヒー牛乳買ってきてくれ」 「自分で行って。あのね美空ちゃん、わたし謙虚だからヤクルトでも我慢する」 「…………」  最終的に言い出しっぺが立ち上がることになった。  美空は億劫そうに財布を開き、買ってきたコーヒー牛乳とミックスジュースをそれぞれ投げ渡してきた。  蓋を開け一口ごくり。喉ごし最高。いやはや休日ってヤツは最高に素敵だ。  気分の良くなった俺は、アユミに暇潰しを振ってみた。 「……アユミー。なんか面白い遊びないかー」 「遊び? うん、あるよある。ちょっと待ってね──」  言いながらがさごそと鞄を漁る。づぽん。その向こうで美空がミックスジュースの蓋を開けた。 「じゃじゃーん! 高瀬アユミ考案、楽しい楽しい八色オセロだよっ!」  うぼぁ。  俺と美空が同時に萎えた。  しかしアユミは堂々とショッキングピンクのオセロ盤を掲げ、八色とか超すごいよね! もうなんか、次元の壁を越えそうだよね!」とかゴキゲンしている。 「「 …………。 」」  美空と視線で会話した。  まぁ試しに一ゲーム、やってみますか + 「そういえば美空ちゃん。銀一くん、最近見ないけど元気してるの? 白二つゲット」 「ああ、元気元気。なんたって暇を持て余して出張行くくらいだからね。出掛け先はどこだっけなぁ……確か、赤木市だったと思う。羽村、紫四つもらうわよ」 「げ……容赦ねぇなあ。と、そういや赤木市って言えば何だっけ。あの有名な“緋雨”がいる街だっけか? おっし、ピンク一列ぜんぶ頂き」 「うわっ!? は、羽村くんなんてことするの!? もうピンクだめっぽいよ!? しょうがないなぁ……残った黄色に賭けよ。ところで“ひさめ”ってなに?」 「“緋雨の魔女”ってのはね、とんでもない女呪術師よ。古参の狩人サイドなんだけど、あんまりにもつわものすぎて敵か味方かわかんねーっていうか。一部には生き神だとか聖女だとか魔法使いだとか言われてるわね。ちなみに住まいは赤木市じゃなくて藤咲市」 「そうだっけ? まぁ何でもいいけど美空、お前の黒、死にかけてるぞ」 「白も結構やばい感じだねぇ」 「げ、何よこれっ!? ちょっと羽村、あんた何気に嫌がらせみたくジメジメ囲みに掛かってんじゃない!?」 「へ、今頃気付いたかバーカ。そーれっ、白・色・殲・滅!」 「で、黒も全滅だよっ」 「ひああああっ!? ちょ、あんたたち何!? オレンジが秒殺された時点でなんか怪しいと思ってたけど、裏側で組んでるんじゃないの!? 羽村!?」 「いや、組んでねぇよ? 単にコンビだから、以心伝心のアイコンタクトで動きを合わせられるというだけで」 「組んでるでしょそれ! 狩人! おい狩人! むっきぃぃぃいいいいいいいッ!?」  がしゃーんと盤がひっくり返される。  八色オセロは意外と面白かった。 + 「次は高瀬アユミ考案、楽しい楽しい下手投げダーツの時間だよっ!」  キラキラ笑顔でアユミが宣言。  銭湯を舞台にした第二回戦が始まったはいいが。 「やたら投げにくいわねぇ……」 「そもそも、なんで下手投げ限定なんだ?」 「下手投げダーツだからだよっ!」 「う~ん……あ、十点ゲット」 「へぇ、やるな美空」 「ふふん、当然じゃない」 「おし、俺は大きく五十点狙いでいくかな」 「うわっ、さすが羽村くん、すごいねがんばるねへ、くちゅんっ」 「っておい!? さりげなく肩を押すなアユミ! 美空! 無事かッ!?」 「うあああっ!? 刺さってる、刺さってる!? 誰か抜いてぇぇぇええっ!!」 「美空ああああああああ!?」 「あ……ごめん……」  アユミが申し訳なさそうに謝って、下手投げダーツは終了した。 + 「次は羽村リョウジ考案、楽しい楽しいピンポン水銀の時間だぜっ!」  しゃきーん!  嘘くさく爽やか爽やかした俺を見やって、美空が半眼で聞いてきた。右手に包帯。 「ルールは?」 「まず誰とも知れぬ人の家に行って、呼び鈴を押す」 「うん、それで?」 「その隙を突いて、井戸にポツリと水銀を垂らし、」 「帰れっ!」 「なに!? わざわざ奥さん呼び出す辺りとか、最高にスリル満点だぞ!?」 「誰がやるか! 死ね! ウサギ連弾ッ!」 「ぼふっ!? 野郎! 喰らえ、下手投げダーツ連弾!」 「いいい痛い!? 本当に冗談抜きで痛い!? ぐぬぅ、ウサギ連弾連弾!!」 「甘い! オセロ盤ガード!」 「固っ!? ショッキングピンク固っ!? きぃぃぃいぃ! ウサギ連弾連弾連弾連弾!」 「ふ、二人とも落ち着いて! めっちゃお婆さんたちがみてるよ!」  ピンポン水銀は未遂に終わった。 「落ち着けって、言ってるでしょおおおおおおおおおっ!!?」 「うおおおぉ!!」 「ひきゃああああっ!?」  アユミの連続ロッカー投げ。効果はばつぐんだ
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