#005 爆音-MetalxHeart'-

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「じゃ、そゆことで」  何故か包帯まみれになった美空が手を上げて。 「おう。またな」  何故か生傷だらけになった俺が応える。 「美空ちゃん、またね~」  ぴく。  一人だけ無傷だったアユミのキラキラ笑顔に、美空が頬を引きつらせた。  モノクロ服も妙にボロボロ。道行く人々が何事かと俺たちを振り返るが、別に何もない。アユミのビーストモードなんて怖ろしい事実はたぶんなかった。 「ま……また、ね。アユミ。今日はほんと、ごめん、ね?」 「うん、また一緒に遊ぼうね!」  メルヘン少女の眩しすぎる笑顔に、俺もじりと後ずさっていた。  カタい動作で手を振って、歩き出した美空の背中は暗雲を纏い、ぽつぽつと独り言を呟いていた。 「……ほんと何なのよあれ、何なのよ一体。怪力? ふざけてんの? マジ有り得ない……そもそもどういう原理だ? どういう理屈を使えばあのか細い腕で8tトラック持ち上げられるわけ? えぇそうよ、死ぬかと思ったわよ本当に。ああやだやだ、恐い恐い……」  あいつたぶん数日はうなされるな。俺も危ういけど。 「美空ちゃん元気ないねぇ。何かあったのかな?」 「さ、さぁ? 道端でギャドラにでも襲われたんじゃないか」 「ふーん……ギャドラさんかぁ」  透き通った瞳が俺を射る。  ピュアすぎて何考えてるのか分からない顔だ。やばい。話題を変えろ俺。 「そ、そうだアユミ! 俺の部屋に壊れたまんまのギターあっただろ、あれいまから修理してもらいに行こうと思うんだけど、一緒に来るか?」 「え、そうなの? 行こう行こう!」  キュートな笑顔にそっと胸を撫で下ろす。やべぇ、ばくばくいってるよ。恐怖で。  でもよかった。  どこからどう見ても普段のアユミだ。銭湯からの帰り道、隣を歩く赤髪の少女はご機嫌だった。 「ねぇ羽村くん」 「ん」  アユミが少しだけ淋しそうに呟いてきた。 「どうしていっつも美空ちゃんと喧嘩するの? 美空ちゃんのこと嫌い?」 「まあねぇ……別に人間として嫌いってわけじゃないんだが」  あれだ、たぶん前世の問題だろう。蛇とマングースとかそんな感じ。
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