黒川 美鈴 Ⅲ

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 そうやってどんどん役割が決められていき、私は材料調達係となり前日から当日くらいしか作業がない係だった。クラスメートそれぞれの係が決まりその日のホームルームは終了した。 「綾ちゃんTシャツ作成なんて大変じゃない? 大丈夫?」 「うん。大変そうだけど私絵を描くの好きだから結構楽しみかも!」 「そっか……、絵好きだもんね。頑張ってね。今日帰りどこか寄っていく?」  私がそう言った時綾ちゃんに誰が話しかけた。 「竹永! 早速だけどちょっとTシャツのデザインの事で話し合わない?」  それは綾ちゃんとTシャツ作成係になった男子だった。 「あっ、えっと……私美鈴と一緒に帰る約束してて……」  綾ちゃんは困った様な顔で私と男子の顔を交互に見ている。 「綾ちゃん! 私は大丈夫だよ。今日は一人で帰るよ!」 「ごめんね、美鈴……」  申し訳なさそうに綾ちゃんが言うので私は笑顔を作り、手を振り教室を出た。内心はあまり面白くなかった。今まではずっと二人で帰っていたのに……。  それからだった、目に見えて私達の歯車が狂い出したのは。お昼を一緒にとったり授業中の遊び等は相変わらずだったが文化祭の準備が入る放課後は一緒に帰る事が減っていた。  食糧調達係の私と違って綾ちゃんは準備の為に学校に残る事が多かったのだ。一人で帰ろうとする私をよそに綾ちゃんは楽しそうな顔をしていた。準備でみんなと残る事が多くなった為か徐々にみんなと馴染んでいっていた。  そうやって私達の関係性が徐々に変化していく中で私の中で綾ちゃんに対する不信感が芽生えていった。でもそれをはっきりと自覚する事を嫌いその気持ちに蓋をするかの様に騙し騙し日々を過ごしていった。  そして文化祭の当日となった。  
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