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WB LIE Ⅱ-Ⅲ
事務所の外をざっと一回りして戻る。雨が降り出している事もあり、あまり念入りに散策は行えなかった。
「あれっ? 結構早めじゃない?」
「いやー、雨が降って来ているし、暗くてよく分からないものですから……もう一回行ってきた方がいいですか?」
「こちらは今、夜なんですか。時計も合わせなくてはなりませんね。今回はこれで結構です。明日また散策する事にしましょう」
「何か所長、寛太君に甘くないですかー?」
「まぁまぁ、初の実地業務なんですから勝手もよく分からないでしょうし」
所長が里佳子さんを優しく諭してくれていた。それから時計を設定し書類の片付けやらを行い、ふと疑問が頭に上がり里佳子さんに尋ねてみる。
「あの、僕らってこの場所にいる時ってどこに泊まるんですか?」
「あっ、やっぱ気になっちゃう? 実は事務所に簡易の仮眠室があって、そこで交代交代なんだよね。依頼者がいつ来るか分からないからさ」
「仮眠室なんてあるんですね。なかなかすごいですね」
「ちなみに変な事考えないでよー、私その気ないからね!」
「なっ!そ、そんな事!」
いきなり過ぎて変に動揺してしまった。逆に怪しく見えなかったか不安になる。しかし、本当に依頼者はいつ来るか分からないんだなと思い、警察や消防などに近い感覚なんだと感じた。
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