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WB LIE Ⅱ-Ⅳ
黒川さんの意識がフッと無くなり過去に戻って行った。里佳子さんがリクライニングソファーへ移動させて一息つきながら言った。
「よしっ、これでひとまずスタートしたね。あとは黒川さんが過去で頑張るのみだね」
「黒川さんが過去に行ってる間って僕らは何をしてればいいんでしょうか?」
「基本的には依頼者のサポートとか身体的変化の観察かな」
里佳子さんが言うには、依頼者が過去に行っている間はサポートする事がメインらしく、困っている事がないかの電話連絡や現在にある身体の保全などがある。
僕たちは過去で何が起こっているかは分からないので直接本人と連絡を取ってアドバイスをしたり、不安な気持ちを解消させてあげる。自分の過去とは言え、そこでは実際的には異物な訳で不安な気持ちも湧いてくる。実際僕も過去に戻った時はWB LIEからの連絡は心強かった。
また、身体の保全とは物理的な身の安全もあるがどうやら現在と過去では若干リンクしている面もあり、表情や外傷を受けた際には現在の体にも現れてくるようだった。
「寛太くんの時もすごく辛そうな表情をしていた時があったから電話して事情を聞いたりしたんだよ」
確かにそうだった。初めに希美の死の知らせがあった昼休みを2回目に過ごしていた時は不安な僕に里佳子さんから電話があった。あの時は現在の体の表情を見て電話をしてくれていたのか。
「君もWB LIEの一員として、一仕事してみようか?」
「一仕事? 何でしょうか?」
「黒川さんに無事過去にたどり着けたかを確認してみようか」
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