虹の橋のたもとに、おじいちゃんがいた。

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 がばり。  ベッドから起き上がった私にどよめくギャラリー。  はっとすると、私は生き返って病院のベッドの上で叫んでいた。  見回すと目を真っ赤に腫らしたお母さん。真っ青のお父さん。妹。そしてーー 「おばあちゃん……」  おばあちゃんはシワシワの手で私の手をしっかり握ってくれていた。 「私、おじいちゃんと話してきたよ」 「まあ、三途の川で?」 「……微妙に場所は違うかなあ」  記憶が消えないうちに言わなければと、私は何より先におばあちゃんに言う。 「おじいちゃん、まだまだ待てるって笑ってたよ」  おばあちゃんは驚いた風にぱっちり目を見張る。 「……あの人ってば。ふふ……そうなのね」  そしておばあちゃんは、意味深に目を細めてこう呟いたのだった。 「まだそんな強がりを言えるなら、あの人にはたっぷりお預けしてあげなくちゃ」  ーーおじいちゃん。  大好きなのお迎えは、まだまだ先になりそうです。
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