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えっ!?マリンさん??
マツケンとマリンは、メッセージのやり取りをするようになりましたが、相変わらず、アニメの話題のみでした。
それでもマツケンは、自分のアニメ愛を披露でき、楽しくってしょうがありません。マリンが自分に絶対、興味があると勘違いも始めるようになりました。
それから、1週間の夏休みも終わり、また仕事に追われる忙しい毎日が始まりました。マツケンの上司は、40代前半の女編集長で、マツケンを可愛がるあまり、こき使いまくり、この日も会社の近くに原稿を取りに行くマツケンに用事をひとつ、追加しました。
「マツケン、原稿を取りに行くよね…だったら、その近くのベーカリーで『チーズだらけのパン』をふたつ買ってきてちょうだい…」
「えーパンですか…編集長、自分で買いに行ってくださいよ…俺、忙しいっす…」
「私の用事が終わってからだと人気商品なんで売り切れてしまうわ…お願い…マツケン…」
「わかりましたよ…チーズまみれのパン…ですね?」
「ちがう、チーズだらけのパンよ…」
マツケンは、編集長から千円札を1枚受け取りました。忘れないようにメモを書いていると隣から突っ込みが入りました。
「先輩、まだ、仕事が残ってるから、早く帰って来てくださいよ…」
マツケンの隣の席には、3つ年下の会社2年目の後輩の高木舞子(たかき まいこ)が座っており、マツケンから仕事を教わりながら、一緒に仕事をしていました。
「わかったっす、編集長に余計な仕事を頼まれたっすけど…」
「行ってらっしゃい、先輩…」
バックを肩にかけると、原稿を取りに外に出ました。今日もくそ暑いと思いながら、歩いて5分のビルへ入って行き、いつもの場所で、原稿を受け取り、中身を確認して、バックにしまいました。
ビルを出るとの編集長が言っていたベーカリーを探しました。一応スマホで、地図を確認していたので、すぐにわかった。
ベーカリーに入るとパンの香ばしい香りが広がり、お昼のちょっと前だったので、お腹がすいてしまい、自分の分のパンも買おうと思いました。
「えーと、チーズだらけのパンはどこだ?…あった…あぶねえっす、2個しかないや…」
何とか、編集長から頼まれた分を確保して、一回会計しようと思い、レジに並びました。レジには5.6人並んでました。
スマホをチェックしながら下を向いてると何か、前の方でオレンジ色の髪の毛が、ちらほら動くのが、目のはしに止まり、一瞬、心臓が止まりそうな衝撃が走りました。
マツケンは、そのオレンジ色の髪の毛の女性の顔を見ようと列から離れ、ちょっと遠くから顔が見えそうな場所に移り、念を送りました。
「こっち向け~、こっち向けっす…マリンさんっすか?」
その女性は、お金を払うと入り口方向に身体を反転し、急いで出てこうとしました。マツケンの位置から顔が一瞬見えました。
「マリンさんだ、アイコンの顔とそっくりっす…ぜってーマリンさんっす…」
心の中で叫び、顔が真っ赤になり、心臓の鼓動が早くなり、一瞬、動けなくなりました。
追いかけなくちゃと思い、入り口方面に行こうとしましたが、編集長のパンの支払いをする事を思い出し、追いかけるのを諦めました。
その後、自分用のお昼ごはんのパンを2つ買って、興奮気味に事務所に戻りました。
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