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マリンさん、この近くにいるっす
事務所に戻ると編集長に原稿と買ってきたチーズだらけのパンと、レシートとおつりを渡したが、マツケンは、心ここにあらずで、自分の席に戻り、ぶつぶつと独り言を言い始めた。
「マリンさん…いたっす…マリンさん…この近くにいるっす…」
「先輩、せんぱい~…」
隣の席の舞子が、声をかけても、全然聞こえてないようで、マツケンは買ってきたパンを無意識に食べ始め、ニヤニヤし始めた。
「マリンさん…マリンさん…」
「先輩!!」
舞子は、おもむろに立って、マツケンの肩をゆすった。マツケンは、はっとして舞子の方を見た。
「先輩、仕事まだ終わってませんよ」
「あっ、ごめん、ごめんっす…」
胸が一杯で、もう食べられないので、もう一個のパンを舞子にあげてた。マツケンは正気に戻り、いつもの仕事モードになったが、気が抜けるとニヤニヤした。その度に舞子に突っ込まれていた。何とかその日の仕事は終わった。
家に帰ると早速、部屋にこもり、マリンのSNSのチェックを始め、ツイートにパンの画像はないかを探した。そして、見つけました。
『マリンは、パンが好きなのだ、月、水、金のお昼ごはんは会社近くのベーカリーで、美味しいパンを買って食べるのだ。ウマーウマー』
「よっしゃー、あったっす…」
コメントと一緒に焼きそばパンと小さめのメロンパンの写真が写ってるが、あそこのパン屋のパンかは、わからなかった。
「よし、明日あのパン屋で確認っす…」
その日もアニメの質問が、マリンから来たが、パン屋の話は聞けなかった。
『マツケンさん、モフ太郎面白くって、可愛ちいよ~ハムハム飼いたくなったぞ、マリンはチビッ子も好きなんです。チビッ子が活躍するアニメありますか?』
マツケンは自分が進めたアニメを見てくれて、喜んでもらって、嬉しさ爆発です。
『モフ太郎面白っすよねぇ~、ハムハムは、ペアで飼うとえらい勢いで増えるから気をつけるべし。チビッ子ものね!これも10年くらい前のスタジオブリブリの「崖から落ちたポロ」がいいッスよ…』
返信後、しばらくするといいねマークが帰ってきた。マツケンはこの日は、アニメ知識披露でき満足してベッドに入った。
次の日、お昼少し前になると編集長にパンを買ってくるのかを確認した。
「編集長、チーズまみれのパンを買ってきまっすか?」
「ちがうわよ、チーズだらけのパンよ…昨日、2つ食べたら、胸焼けしたから今日はいらないわ…」
「先輩、私のパンを買ってきてください」
「おっ、舞子くん協力的っすね~」
「なにが、ですか?」
「いやいや、こちらの話っす…それじゃ、マツケンお昼ごはん買ってきやす~」
舞子から千円札と食べたいパンのメモを受け取り、この日は火曜日だったが、SNSに載っていたパンを探しにマツケンはあのパン屋に向かった。パン屋に着くとあのマリンさんのSNSに載っていたパンを探し始めた。
「まずは、焼きそばパン…あった、そっくりっす…次はメロンパン…パン、パン、メロンパン…あったっす…うーん…」
メロンパンを見つけたが、マリンのSNSの画像と比べると色が明るいし、大きさがちょっとちがうような気がしたが、きっとリニューアルしたんだと自分に言い聞かせた。
「きっと、リニューアルしたっすね…俺はマリンさんと一緒の焼きそばパンとメロンパンを買ってとあっ舞子の分も忘れずに…」
上機嫌でレジに並び、急いで事務所に戻った。事務所に戻ると舞子にパンとおつりを渡した。
「買ってきたッスよ~舞子ちゃ~ん」
「先輩、気持ち悪いよ~」
「舞子のパンは平凡だな~これは、マリンさんのパンなのだ…」
「マリンさんのパン?…新しいアニメに出てくるんですか?」
「ちがう、3次元だ!」
「そうなんですね…」
マツケンは、上機嫌でパンを食べながら、今までのマリンとの事を舞子に自慢げに話した。
「舞子くん、これは運命っすよ…」
「先輩、熱があるんですか?」
「あるっすよ~マリンさん熱が…」
「先輩…だめだこりゃ…」
舞子は、いつものおちゃらけだと思い、聞き流しました。
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