本当に渡せなかったのか、ラブレター

マリンさんをもう一度確認だ！？

　この日は、マリンさんからのダイレクトメッセージは来なかった。でもマツケンは、ウキウキです。マリンさんともっと仲良くなる為の作戦を考えました。

「やっぱり、女の子はサプライズが好きっすよね…バラの花をプレゼント…フラッシュモブで踊るっす！？…いきなりラブレター！…なんか難しいっすね…明日…舞子に相談してみるっす…困った時は舞子くん…」

　その夜は、夢心地で眠りにつきました。そして夢の中になんとマリンさんが出てきました。

『あの～アニオタ神のマツケンさまですか？』
『はいっす！アニオタ神と言えばマツケンっす…オレンジ色の髪の毛？…あっマリンさんっすか？』
『実はマリンは…マツケンさんの事が…』
『ちょっと待った！マリンさんの口からは、言わせやしませんぜ…マツケンの名おれっす！…マリンさん付き合っ…』

　そこで、目が覚めました。マツケンは、とうとうマリンさんが夢の中に出たと朝から興奮しました。そして、マリンさんが付き合いたがってると思い、これは正夢になると勝手に思い込んでしまいました。

　急いで着替えて、歯を念入りに磨き、朝食を平らげて、両親に出かける前の挨拶をしました。

「お父さま、お母さま、それでは会社に行って参りますっす」
「おう！ケン行ってこい…」
「ケン…、何かおかしな物を食べさしたかねぇ～はい、いってらっしゃい」
「朝ごはんいつも通りだったぞ…」
「じゃあ、頭打ったかねぇ～」

　マツケンは勢いよく、玄関を出て、会社に向かった。会社についてもご機嫌です。

「編集長おはようございますっす…今日もお綺麗っすよ！…舞子くんおはようさんっす…いいメガネしているすってねぇ～」
「マツケンどうした？仕事のし過ぎ…いや、そんなことはない…」
「先輩！おはようございます、今日もお願いします」
「舞子くん、よろしくね…あっ後で相談に乗ってほしいっすよ」
「え？…はい！」

　マツケンは仕事にいつも通りに取りかかった。そして、お昼前になるとまた周りにパンの注文を取り始めた。

「美味しいパンを買ってくるっす～…マリンさん推奨のパンはいかがっすかぁ？」
「今日もいらないよ…」
「先輩、私は買ってきて欲しいです」
「舞子くんは、えらいっすねぇ～」

　今日も舞子からパンの注文を受けて、マリンさんが買いに来る前にと急いでベーカリーに走りました。

　ベーカリーに着くととりあえず、店内にマリンさんがいない事を確認して、舞子の分のパンを先に買い、また、おぼんとトングを持ち、自分の分を買いながら、店内を徘徊しました。

　しばらくするとエプロンをつけたオレンジ色の髪の毛の女性とまだらなメッシュを入れたショートカットの女性が入ってきました。それを見た瞬間に心臓はドキドキしだし、落ち着かなくなりました。

「マリンさんきたっすー！…美容室のエプロン？みたいだなぁ～マリンさん美容師さん？？」

　マツケンはやはり、恥ずかしいので、直視は出来ず、ちらちら見るのが精一杯でした。マリンさん達はさっさとパンを選び、すぐに店を出てしまい、またパンの支払いをしていなくて、後をつけられませんでした。

　事務所に戻り、舞子に一緒にパンを食べようと空いている会議室に連れていき、マリンさんの相談を始めました。

「舞子くん、女の子がもらって、嬉しい物って何っすか？」
「もちろん、プレゼントですね」
「マリンさんが何が好きか？わからないっすからなぁ～」
「じゃあ、先輩、お手紙でも嬉しいですよ！」
「やっぱり、ラブレターっすかぁ…」

　マツケンは、ラブレターを書くことを決めて、帰り道に文房具屋により、おしゃれなレターセットを買って、ウキウキしながら帰りました。