結婚前夜

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 あるあるある、こういうのって。  最悪だ。  花嫁より、花婿の方が美しい。  困った人だ、と莉王は苦笑いして、白のフロックコート姿の允を見上げる。 「やあ、王様っ。  誰かと思った。  綺麗だねえ」  忍が允の後ろから、ひょいと現れた。  ……褒めてくれているのだろうか。  その言い方だと、普段は綺麗でないようなのだが。  新郎のあまりの美しさに、つい、いじけてそう思ってしまう。  正装した卯崎さん。  珍しくスーツ姿の忍さん。  これに城ヶ崎さんまで加わるわけだよね?  もう花嫁、いらないのではないだろうか……と莉王が思ったとき、 「ほら、允も褒めて」 と忍が允の背を叩いた。  だが、允は黙っている。
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