結婚前夜

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 真那斗、来なかったな、と思いながら、莉王は式に臨んでいた。  こじんまりとしているが、アンティーク調のお洒落な教会。  花で飾られたバージンロード。  これを望んだのは自分のワガママなのに、笑顔で送り出してくれた由莉子たちに深く感謝した。  よく響く城ヶ崎の声を聞きながら、莉王は、チラ、と隣に立つ新郎を見る。  初めて見たときも思ったけど、やっぱり卯崎さん格好いいや。  確かに準備期間はびっくりするくらい短かったが。  ほんとうに夢のような結婚式だと莉王は思った。  イケメンの新郎に、美し過ぎる牧師。  いや……美し過ぎる牧師はいらなかったな。  祭壇に立つ城ヶ崎を見ながら、こっちがいいって人がでてくるはずだな、と苦笑する。  卯崎さんの僧衣もだけど、白や黒のモノトーンの装束って、よりいっそう美貌を引き立てるよね。  聖職者ってことで、ストイックな感じがするからまたいいのかな、と莉王が阿呆なことを考えたそのとき、派手な音をたてて教会の扉が開いた。  振り返ったそこには、何故かウェディングドレス姿の女が立っている。
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