結婚前夜

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 そのとき、莉王は允が何処か違うところを見ているのに気がついた。  ん? と視線を追うと、莉王の後ろの窓に一眼レフのカメラを持った、じいさんズが張りついていた。  及川がなにか言いながら、盛んに手を叩いている。  さすが、王様っ。  よっ、日本一っ、とじいさんたちから聞こえたのは気のせいか。  およそ、花嫁にかけられる言葉ではない。  忍に言われて入ったきた及川たちが言う。 「いやいや、今日は、わしらの王様の結婚式だからな。  みんなが見たいと言うんで、こっそり見に来たんだ」  ぜんっぜん、こっそりじゃなかったですが……。  そう思いながらも、莉王は微笑み、 「……ありがとうございます」 と及川たちの手を取る。  そのまま、席で式を見てもらった。  さすが、城ヶ崎は、先程まで殺されそうになっていたのに、声が震えるでもなく、(とどこお)りなく式を終えてくれた。
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