結婚前夜

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 そこにはドレスの裾をたくし上げ、回し蹴りをしている自分が写っていた。 「消去」 とボタンを押そうとすると、 「やめてっ。  写真展に出すんだからっ」 と潮が叫ぶ。 「こんなもの出したら、私、外を歩けないじゃんっ」 「目許を黒い線で覆って歩きなさいよっ」  写真じゃなくて、私がかっ、と思っていると、忍がさっきの女性に笑顔で手を振り、やってきた。  彼女機嫌良く、離れたところに止めていたパステルカラーの車に戻っていく。 「携帯の番号、教えてくれた」 と笑う忍に、 「……どんな技ですか」 と莉王は呟く。  自分の回し蹴りなどより、余程凄いなと思った。  横で允が呟く。 「今度はお前が刺されるぞ……」
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