2327人が本棚に入れています
本棚に追加
そこにはドレスの裾をたくし上げ、回し蹴りをしている自分が写っていた。
「消去」
とボタンを押そうとすると、
「やめてっ。
写真展に出すんだからっ」
と潮が叫ぶ。
「こんなもの出したら、私、外を歩けないじゃんっ」
「目許を黒い線で覆って歩きなさいよっ」
写真じゃなくて、私がかっ、と思っていると、忍がさっきの女性に笑顔で手を振り、やってきた。
彼女機嫌良く、離れたところに止めていたパステルカラーの車に戻っていく。
「携帯の番号、教えてくれた」
と笑う忍に、
「……どんな技ですか」
と莉王は呟く。
自分の回し蹴りなどより、余程凄いなと思った。
横で允が呟く。
「今度はお前が刺されるぞ……」
最初のコメントを投稿しよう!