結婚前夜

77/100
前へ
/566ページ
次へ
 莉王は、まだ盛り上がっているみんなの向こうに、真那斗の姿を探してみた。 「真那斗、来なかったな……」 と呟くと、忍がスマホをポケットにしまいながら言う。 「来たくなかったのはわかるんだけどさ。  でも、そこで引くから、あいつ、駄目なんだよな~。  きっと用事があったとか言い訳しながら、酔って二次会にやって来るよ」  このあと、教会に来られなかった友人たちも交え、少し呑むことになっていた。  なにがどう駄目なんだろう、と思っている莉王の横で、潮が、 「あっ、あんた、ブーケ投げてないっ」 と言い出した。  むんずとブーケをつかんでくる。 「今日、いっぱい写真撮ってあげたから、私のものよね」 「あっ、潮さんずるいっ」 と後輩の女の子たちが声を上げる。 「みんなでジャンケンしましょうよっ」  すると、近くに居た城ヶ崎の母まで、 「では、私も参加させてください」 と言い出した。  笑顔だ。 「それなら、うちにも、まだ嫁にいっていない孫がいるっ」 「あんたの孫、中学生じゃろうがっ。  うちなんか、まだ嫁にいっていない娘がおるぞいっ」  何故かじいさんたちまで参戦してきた。
/566ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2327人が本棚に入れています
本棚に追加