結婚前夜

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 よしっ、と莉王は、今、下りた階段をまた上がっていった。  みんなを手招きして、階段下に集まらせる。 「やっぱり、ブーケトスにしましょう。  ここから出来るだけ遠くにブーケを投げます。  ダッシュして、最初につかんだ人の勝ちです」 と宣言すると、 「ブーケトスって、そんな競技だったっけ?」 と忍が笑って言ってきた。 「さっきの子こそ、取りにくればいいのにね」  忍は自分は参戦しないので、もう車のない木立を見ながら、そんな呑気なことを言う。 「なにそれっ。  足が速い奴の勝ちっ?」 「潮さん、人を突き飛ばしてでも前に出そうで怖いんですけどっ」 「王様~っ、わしらは走れんのじゃが~っ」  そう叫びながら、じいさんたちは、もう走る体勢に入っている。  みんなまだ騒いでいたが、二次会の時間もあるしな、と思った莉王は思い切り腕を後ろに引くと、できるだけ遠くにブーケを放った。 「行きますよ〜っ!」 「もう投げてんじゃんっ!」 と潮が突っ込む。
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