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そんな允の瞳を見つめ、莉王は言った。
「……言わなかったですか?
好きじゃないこともないかもしれないって」
そう言いながら、思っていた。
私の表現もほんとに曖昧だな、と。
允のことを言えた義理ではない。
だけど、未来なんてわからないし。
今の自分の気持ちもよくわからない。
でも、この人とこうしているのは嫌じゃないな、と思っていた。
そのとき、
「そうだ」
といきなり允が起き上がる。
玄関に置いたままの鞄から、なにか持って来たと思ったら、封筒だった。
事務用のなんの変哲もない封筒。
それを渡してくる。
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