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允の実家に着くと、何故か忍の方が先に来ていた。
「莉王ちゃん、早く」
と縁側から手招きする。
「僕も手伝うから」
ええっ!? と思っていると、
「僕、先生のところで、着付け習ってたんだよ。
ヘアメイクもね。
昔はそっちに進みたかったから」
ね、と言って、年配の美容師、原田と笑い合っている。
そっちの道に進みたかった、か。
きっと清香さんの一件で方向転換したんだろうな。
誰もが愚痴を吐き出せる、あの癒しの空間を作るために――。
でも、男前の美容師さんが愚痴を聞いてくれるっていうのも悪くないような、と思っている間に、北側の和室に引っ張っていかれた。
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