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黒っぽい影のようなものが写っている。
忍はそれを指差し、笑った。
「きっと、真那斗の怨霊だね」
「いや、あの……。
生きてますけど、真那斗」
「じゃ、生霊だよ。
君が結婚することになって、ようやく好きだったと気づいたんだよ。
マヌケだね」
だからさ、大丈夫、と忍はカメラの電源を切った。
「僕も真那斗もいるよ。
きっと君は結婚しても、刺激ある退屈しない人生を送れるよ」
いやあの、特に刺激はいりませんが、と思う莉王に忍は言う。
「人は波風立って初めて、ああ、自分は幸せだったんだなあって気づくものだからね」
そのとき、襖が開き、及川がケーキを持ってきた。
「おーい。
王様の友だちから届いたぞー」
長机の上、宴会料理と一緒に置かれたケーキの箱を全員で覗き込む。
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