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ミヤビ、誕生。
カスミとは事前に話し合って、男ならトオル、女ならミヤビと名付けることに決めていた。
「産まれたのは女だからミヤビで決まりだな」
「女性たる者、雅やかであります様にって由来だったわね」
「俺は別にじゃじゃ馬でも構わねーけどよ」
だが、じゃじゃ馬になる様にって願う親は、先ず居ねーよな。
俺とカスミは見つめ合って笑顔になった。
この事は後でワタルやゲンタにも知らせた方が良いだろう。
「ほら、パパとママですよ〜」
ミヤビを産湯に浸け終えたリスティナさんが俺に抱っこさせようとする。
「まだ首が座ってないから、コッチの手で、こう持って…」
その時、ガタガタバッターン!とデケー音が寝室まで聞こえてきた。
「リスティナさん、カスミとミヤビを頼む」
俺はまだ上手く抱っこ出来ねーミヤビをリスティナさんに返すと、穏やかじゃねー雰囲気に剣だけ持って、音の出所へ向かう。
「貴方…!」
「大丈夫。ここはこの子の為にも此処に居ましょう」
寝室から、そんな会話が聞こえてきた。
音の出所は日曜学校の教室でもある女神像の在る部屋だった。
見るとリョウが倒れている。
俺はリョウの元に駆け寄った。
「大丈夫か?リョウ」
俺はリョウの首を起こす。
「グラカンドくんが…」
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