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角から出て来たのは、俺とぶつかって尻餅をついたワタルと。
「ワタルの坊ちゃん、大丈夫ですかい?」
そんなワタルを、後ろから左右の両脇に腕を通し、前で手を組んで立ち上がらせたゲンタだった。
「悪りぃ。今、急いでるから」
俺は再び男の後を追おうとして、見失っちまった。
「ゲンタさん、ありがとうございます。…勇者様?急いでいたんじゃないんですか?」
ワタルの言葉に俺はカスミの出産も含めて、一部始終を話した。
「えっ!リョウくん、大丈夫でしょうか?」
「リョウの奴はグースカ眠ってるだけだ。問題は、どうやってグラカンドを助けて、連れ去った男を見つけるか、だな」
「それこそ、リョウくんの魔法が必要になりませんか?」
日曜学校まで後少し。
リョウが居ないと開校出来ねーが、グラカンドが拉致られた事を話せば、リスティナさんも解ってくれるかもしれねー。
「仕方ねー。一旦、教会へ戻るか」
「なんでしたら、あっし達にも協力させて下せえ」
「良いけど、あんた等、何処へ行く予定だったんだ?」
「「教会です」」
ワタルとゲンタの声がハモった。
「キムラさんから聞いたんです。勇者様が何か依頼を引き受けたらしいと」
「あっし達も研究所と道場の生活が板についてきたので、協力しようかと」
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