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だが、リョウはバカだが、魔法の腕は確かだ。
犯人は、この辺りにいるに違いねー。
と、一際デケー家の前でリョウは立ち止まった。
「この家からグラカンドくんの気配がするよ」
もっと盗賊のアジトみてーな場所を想像していた俺は、意外な場所に驚いた。
それはワタルやゲンタ、突き止めたリョウ自身も俺と同じだったらしく…。
「センリガン!センリガン!!…やっぱり、この家からグラカンドくんの気配がするよ」
「だが、このまま突撃するような場所じゃねーよな…」
「あっし達が押し掛けたら、逆に警戒されそうですぜ」
皆でどうするか考えていると、不意にワタルが提案した。
「皆さん。ここは僕に任せて下さいませんか?」
「良いけどよ、どうするつもりだ?」
「地域包括支援センター員を装います」
チイキ…???
よく解らねーが、ワタルのことだ。
相手を安心させた上で、家の中に入れるようにするつもりだろう。
「解った。ワタルに任せる」
「かしこまりました」
ワタルはそう言うと、インターフォンのボタンを押した。
少しして、野太い男の声が聞こえてくる。
『はい』
「済みません、私、地域包括支援センターの者ですが、今、この地域を周っておりまして…5分程、お時間頂けないですか?」
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