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男は少し沈黙した後、ワタルに応える。
『構わんが…』
男の返事にワタルの後ろで親指を立てる俺等。
「では、失礼します」
ワタルが、そう言うとインターフォンは切れた。
「これで中には入れてもらえますが…問題はどうやってグラカンドくんの居場所に行くかですよね」
確かに2階まである上に部屋の数も多そうだ。
おまけにリョウは面が割れている。
「2人ずつに分かれようぜ。男の気を引く方と、その間にグラカンドを探す方と」
「男性が1人で暮らしているなら、それも有りかもしれませんが…他にも家族がいる可能性もあります」
確かに、こんなデケー家だと1人で暮らしてるとは考え難い。
「って事は共犯者のいる可能性もあるって事ですかい?」
「んー。でも、この家からは他の家族の気配を感じないよう」
「その辺りのことも、それとなく聞いてみましょう。皆さんは中から見えない角度に居て下さい」
「「「応!」」」
こうして、グラカンド救出作戦は開始した。
門を開けたワタルを先頭に、だだっ広い庭を歩く。
だが、木と草むらが生い茂るばかりで生活感がまるで感じられない。
不審に思いながらも、玄関先まで着いた俺等は、ワタル以外、全員玄関からの死角に入り息を潜めた。
玄関のドアが開く。
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