グラカンド救出へ

6/8
前へ
/121ページ
次へ
男は少し沈黙した後、ワタルに応える。 『構わんが…』 男の返事にワタルの後ろで親指を立てる俺等。 「では、失礼します」 ワタルが、そう言うとインターフォンは切れた。 「これで中には入れてもらえますが…問題はどうやってグラカンドくんの居場所に行くかですよね」 確かに2階まである上に部屋の数も多そうだ。 おまけにリョウは面が割れている。 「2人ずつに分かれようぜ。男の気を引く方と、その間にグラカンドを探す方と」 「男性が1人で暮らしているなら、それも有りかもしれませんが…他にも家族がいる可能性もあります」 確かに、こんなデケー家だと1人で暮らしてるとは考え難い。 「って事は共犯者のいる可能性もあるって事ですかい?」 「んー。でも、この家からは他の家族の気配を感じないよう」 「その辺りのことも、それとなく聞いてみましょう。皆さんは中から見えない角度に居て下さい」 「「「応!」」」 こうして、グラカンド救出作戦は開始した。 門を開けたワタルを先頭に、だだっ広い庭を歩く。 だが、木と草むらが生い茂るばかりで生活感がまるで感じられない。 不審に思いながらも、玄関先まで着いた俺等は、ワタル以外、全員玄関からの死角に入り息を潜めた。 玄関のドアが開く。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加