グラカンド救出へ

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どんな顔して向き合えば良いのか解らなかったが、隠れていたのがバレてる以上、姿を見せない訳にはいかねー。 後、キースや男の様に辛い思いをする奴が少しでも減る様に、1度アベの城主ケイスケにお目通りを願った方が良いかもな…。 そう思って姿を現すと、男の姿はなかった。 「今、グラカンドくんを抱えて来る筈です」 俺等の心を読んだ様にワタルが言う。 やがて、無精髭を生やして髪をボサボサにした男が、気を失ったままのグラカンドを抱えてゲンタに渡した。 「息子さんを拐って済まなかった…。牢屋でもどこでも連れて行くが良い」 「息子…」 ゲンタは複雑な表情でグラカンドを見下ろした。 確かゲンタも妻と腹ん中のガキを死なせてしまった筈。 生きていれば、もっとデケーガキが居たろうが、男が勘違いするのも仕方ねー。 「…じゃあ、冒険者ギルドまで来てもらうぞ」 「あっしは先に教会へ向かってやす」 男に抵抗の意思はねーだろうが、俺は男の腕を強く掴むと、一旦、ゲンタと別れた。 「僕も今ならまだ日曜学校出来るかもしれないからゲンタさんと戻ってるね!」 「僕は冒険者ギルドまでご一緒します」 ワタルは俺や男と。 リョウは教会へ向かったゲンタと。 行動が分かれた。 冒険者ギルドに着く。
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