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勇者、ピンチ
と、中には子猫を抱えたキムラと、おそらく子猫を探して見つけたのであろうキースがいた。
やべーな…男は盗賊を嫌っている筈。
そう思って、とっとと『依頼達成』の受付へ行こうとした。
犯人を捕まえる依頼は大抵、『依頼達成』の受付で得物が無いかボディーチェックされ、在ったら即没収されるからだ。
と、その時。
「あれー?勇者くんとお仲間の1人じゃない。そっちも犯人捕まえたのー?」
よりにもよって、うぜーキムラに見つかっちまった。
男がキムラとキースの方を向く。
「お前…盗賊…!」
憎しみの篭った声で、そう呟いた男は次の瞬間、暴れ出した。
「家族を…!自分の家族を返せえ!!」
「落ち着け!コイツが殺した訳じゃねー!」
暴れる男を取り押さえようとした俺だったが男の得物のダガーに刺された。
鈍い激痛が刺された箇所から全身に広がる。
血がフローリングの床に滴り落ちた。
「フリーズ!」
ワタルが氷の魔法の上級編、氷無しで男の動きを固める魔法を唱える。
「キャー!!」
職員が悲鳴を上げ、ギルド内が騒然となる中、俺は両膝を着いて、そのまま倒れた。
「勇者くん?!」「お、おい勇者…」
キムラとキースの声が遠くに聞こえる。
「皆さん、落ち着いて下さい!僧侶の方は居ませんか?!」
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