生還

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生還

やかましいせいか隣のベビーベッドで寝てたミヤビがぐずる。 俺はどれくらいの間、生死の境で魔王にヤられていたのだろう。 ミヤビの方へ向いたカスミに代わり、今度はリョウが枕元にやって来た。 「ワタルくんからギルドの事を聞いて心配したよう」 そうだ…俺はグラカンドを拉致した男に刺されたんだ。 「男は…犯人はどうなった…?」 俺の疑問にリョウは泣きそうな顔になる。 「あれから直ぐに捕まって…今はお城の地下牢の中だよ」 それを聞き、城へ向かおうと起き上がろうとした俺の身体に激痛が走った。 「ダメだよー、タモツ。どこ行くつもりなのさ?」 「アベの城主の所だ。キースの件といい、グラカンドを拉致した男の件といい、直訴したい事は幾らでもある」 「キース?」 キョトンとしたリョウに俺は凄んだ。 「リョウ、俺に回復魔法を掛けろ。今すぐにでも動けるように」 その時、グラカンドが元気良く、寝室に入ってくる。 「リョウお兄ちゃん、日曜学校始まるよ!…って勇者様、目が覚めたんだ?!やったあ!」 どうやら、少なくとも一週間は寝てたらしい。 「タモツ、今は待ってて。日曜学校が終わったら回復魔法を掛けに来るから」 リョウは助かったと言わんばかりにグラカンドと出て行く。
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