16人が本棚に入れています
本棚に追加
生還
やかましいせいか隣のベビーベッドで寝てたミヤビがぐずる。
俺はどれくらいの間、生死の境で魔王にヤられていたのだろう。
ミヤビの方へ向いたカスミに代わり、今度はリョウが枕元にやって来た。
「ワタルくんからギルドの事を聞いて心配したよう」
そうだ…俺はグラカンドを拉致した男に刺されたんだ。
「男は…犯人はどうなった…?」
俺の疑問にリョウは泣きそうな顔になる。
「あれから直ぐに捕まって…今はお城の地下牢の中だよ」
それを聞き、城へ向かおうと起き上がろうとした俺の身体に激痛が走った。
「ダメだよー、タモツ。どこ行くつもりなのさ?」
「アベの城主の所だ。キースの件といい、グラカンドを拉致した男の件といい、直訴したい事は幾らでもある」
「キース?」
キョトンとしたリョウに俺は凄んだ。
「リョウ、俺に回復魔法を掛けろ。今すぐにでも動けるように」
その時、グラカンドが元気良く、寝室に入ってくる。
「リョウお兄ちゃん、日曜学校始まるよ!…って勇者様、目が覚めたんだ?!やったあ!」
どうやら、少なくとも一週間は寝てたらしい。
「タモツ、今は待ってて。日曜学校が終わったら回復魔法を掛けに来るから」
リョウは助かったと言わんばかりにグラカンドと出て行く。
最初のコメントを投稿しよう!