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「お腹が大きくなったら、ジッとしてるより、寧ろ無理の無い範囲で身体を動かした方がいいのよ」
リスティナさんが優しくそう言う。
カスミもそっと花を教壇の上に置くと、俺を見上げた。
「貴方、不審者がって聞こえたけど、何か有ったの?」
「仕事の話だ。カスミはなんの心配もしなくていい」
「王女様、もうじきお昼でしょう?お食事を運ぶの手伝って頂けないかしら?」
「私で良ければ喜んで」
リスティナさんのお陰でカスミに余計な心配を掛けずに済んだ。
ワタルは研究所、ゲンタは道場。
2人は普段、暮らしてる場所が違うので、昼飯は5人分でいい筈だ。
と、その時、カスミの動きが止まった。
「う…」
見るとカスミの足が濡れている。
リスティナさんも、カスミの異変に気付いた様だ。
「破水?!大変!勇者様、王女様を寝室に運んで。リョウ神父、グラカンドを頼みます」
「えっ!う、うん!」
てっきりリョウが助産するのかと思いきや、同じ女同士、リスティナさんが助産してくれる様だ。
俺は前のめりになってるカスミの身体を、そっとお姫様抱っこする。
そして、リスティナさんが開けてくれたドアを通り越して、寝室のベッドの上へと急いだ。
リスティナさんが先行して、寝室のドアを開け放す。
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