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グラカンド救出へ
リョウは朦朧とした意識でなんとか俺に伝えようとする。
「しっかりしろ。グラカンドがどうした?」
「日曜学校の…時、覗いてた…人に、連れ去られて…止めようと、したら…突き飛ばされて…」
そこまで言うとリョウは目を閉じた。
「リョウ?リョウ!」
俺はリョウが意識を失ったのかと思って揺さぶる。
すると。
「スー…スー…」
どうやら只、眠っただけの様だ。
この状態で眠れるのも、ある意味、スゲーな。
見ると争った後の様に長テーブルと椅子が散乱している。
リョウも気絶してるし、グラカンドも拉致されたら、今日の日曜学校は休みだな。
日曜学校の生徒なら誰でも良かったのか、それとも初めからグラカンドを狙っていたのか?
今ならまだそんなに遠くには行ってない筈だ。
犯人を捕まえてギルドに突き出してやる。
カスミの出産後に傍に居てられない事に俺の胸は痛んだが、状況が状況だ。
俺はリョウをそっと横たえると、教会を飛び出した。
外を見回すと…居た!
気絶してるのか、グラカンドを肩に背負った男が城の方へ歩いていくのが、遠目だが確かに見える。
「待ちやがれ!」
俺は男を追いかけようと走り出したところで角から出て来た奴とぶつかっちまった。
「イタタ…って勇者様?」
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