王道転生では無さそうです

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王道転生では無さそうです

ゆっくりと目を開ける。 少しばかり眠気があるが、渋々と体を起こす。 どうやら寝てしまっていたようだ。 大きな木の下で本を読んでいた。 「ゼファー!」 母が遠くから呼んでいるーーー 俺は転生した。 いつも通り家の扉を開け、一歩踏み出した瞬間 そこに落ちた。 文字通り底。 地獄の底のような場所に俺は落ちた。 普通、誰かしら何かしらのアナウンスがあるだろーよ。 とか思ったけどそんなこと言ってられない。 よく分からない場所にいる以上、 とにかく必死だった。 「ステータス!」 「能力画面!」 叫んでみたが何も反応しない。 無能力で俺はよく分からん場所に来たのか? 自分の手をふと見てみると、 とても小さかった。 いやいや、俺は26歳だったのに なんだ、この少年の手は。 顔を触ってみるとツルツルの肌だった。 嬉しい反面、困惑した。 小さくなったのか?それとも時間が巻き戻ったのか? 分からん。全くもって分からん。 とにかくここがどこで、どういう世界なのかまずは確かめなければ。 ゴツゴツとした岩場を小さい体で歩く。 誰もいない。 ただ、黙々と歩く。 道なのかなんなのか分からないが、 ただ、歩く。 異世界ならモンスターとか出るのかなぁ なんてことをぼやっと考えながら歩いていた。 嫌だなあ。今出てこられたら死ぬよな。 なんとかしてここから出なければ。 いや待てよ。 そもそも出口はあるのか? いや、考えるな。とにかくまず動こう。 自分と会話しながら、ただ、歩き続けた。 どれくらい歩いただろうか。 意識が朦朧としてきた。 ここで倒れたらもう二度と立てないような気がする。 怖い。 死というのはこんなにも怖いものだろうか。 休憩のため、岩場の隅に座る。 どうにかして、この場を抜け出す。 そのためには自分になにができるか。 分からない。 けど、まずはここは異世界だと仮定しよう。 だとしたら、定番であれば、能力があるはず。 もしくは、魔力。 あ、そーか魔力の方か! それだ!それを試してみよう! 目を閉じて集中してみる。 自分の体の隅々を意識する。 そして、体内へ。 そこから自分の中に流れているようなものを感じ取ることができた。 よし!成功だ! 使えるかどうかなんて分からないが、 とにかく成功だ! もう一度やってみる。 今度は自分の体だけではなく、 周りの流れも。 なんとなく分かる。 この流れや溜まりのようなものがこの世界では大事なはずだ。 と勝手に仮定してそれを感覚で捉えられるようにする。 分かる。分かるぞ。 この感覚を大事にしよう。 そんなことを思ってた矢先、その流れを断ち切るものがあった。 ここからそんなに遠くない距離。 なんだ? なにかあるのか? 行ってみるか。 魔獣とかモンスターだったら怖いな。 でも動かないとこのまま衰弱して終わりだ。 どうせ終わるなら動いて終わろう。 そんなことを考えながら、その場所へ移動した。 10分くらいだろうか 歩いたその先には大きな水晶のような鉱物があった。 なんだこれは。 すげえ。 キラキラと輝いているその水晶に俺は思わず触れてしまった。 その時、 バチッ! と大きな音を立てて俺の手は弾かれた。 痛いはずのその手は興奮によって 何も感じなくなっていた。 すげえ、すげえ! こんなものがあるんだ。 この世界はまだ見たこともないようなものを見せてくれる気がした。 さっき自分で覚えた 魔力の確認をしてみる。 そしてそれを自分の指に集中的に集める。 俺意外と器用じゃん。 なんてことを思いながら、その水晶の一番魔力が溜まってる場所を見つけ、触る。 その瞬間さっきとは比べものにならないくらいの強い光とバチチッ! と強い衝撃が走った。 さっきは驚いて離してしまったが 離さないぞ。 バチッ!バチチッ! 俺の中の魔力と水晶の魔力がぶつかる。 「うおぉぉ、、、!」 声を上げながら全てをぶつける。 ぶつかりながら眩い光を散らし どんどん大きくなる。 そしてその光が俺を、そして水晶を包み込み パッと弾ける。意識が飛びそうになりながら 頼む。これが正解であってくれ、、 てか、転生するのってこんな感じだったっけ、、、? なんてことを思いながら俺は意識を失った。
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