1章 ぼくのうた

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1章 ぼくのうた

「大好きでした」  あなたはあたしを好きですか? あたしはあなたが大好きです 初めてあなたとつないだ手 お散歩道には花びらが 風とたわむれ舞っていた あなたが見てるの知ってたけれど あたしの世界は薄桃の絨毯 豊かな木々に微笑まれ 今日もあたしは見れなくて あなたの革靴ながめてた あなたは笑う「恥ずかしがりやなんだね」と あなたはまだあたしを好きですか? あたしはまだあなたが大好きです いつのまにか離れた手 続く道には枯れた葉が                                        踏みつぶされて泣いていた あたしが見つめて笑っていれば あなたの世界にいられたのかな はだかの木々は嘲笑い 昨日のあたしは消えていく 古びた靴すら知らないで あたしは笑う「ぶきような恋だったね」と あなたはあたしを好きですか? あたしはあなたが――
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