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そう、思っていたのだが。
「オギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「お、お前ら逃げろおおお!氷魔法来るぞおおお!」
「ひいいいいいいい!?」
慌てて扉の影に隠れる俺。逃げ遅れて仲間の数人が、凄まじい吹雪を浴びて氷漬けになる。
聴いてない。
まさか魔王様が、超巨大な赤ん坊だなんて聴いてない。
言葉も通じないし、泣きだすと手当たり次第魔法をぶっ放すなんてそんな話全く聴いてない!!!
「こ、これじゃあ、本棟にお連れするどころじゃねえええっ!」
部隊長の俺は頭を抱えた。なんでテオリード様が別棟に来た途端、そそくさと逃げたのか。
なんで俺達がお迎えの任を任されたのか。
なんてことはない、魔王様の魔法を浴びても即死しなさそうな頑丈そうな魔物が選ばれた、それだけのことだったのである。
ああ、そういえば俺が勤務する数年前に魔王様って代替わりしたって噂を聴いていたけど!魔王族の寿命はめっちゃ長いから成長も遅いとは知っていたけれど!!
「だ、誰か!皆様の中に子育て経験のある魔物はいらっしゃいませんかあああああ!?」
独身ぼっちに、赤ちゃんの気持ちなどわかるはずもない。
俺は半泣きになりながら叫んだのだった。
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