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魔王城、最大のミッション!
「カオス小隊よ。数々の武勲を上げた貴様らに、ついに最大の栄誉が下ったぞ。別棟にて休養中の魔王様を、貴様らがお迎えに上がるのだ」
「おおおおお!」
俺達は歓声を上げた。勇者達を相手に八面六臂の活躍をし、多くの敵を蹴散らしてきたカオス小隊。そんな俺達の実力が、ついに魔王様の右腕たるテオリード様に認められたのだ。
魔王城に勤務して八年。やっと、魔王様にお目通りが叶うところまでこぎつけたのである。これほどまでに名誉なことはない。
「これで、俺達も魔王様の直属部隊に格上げってことじゃね!?」
「うんうん!」
「ありがとうございます、テオリオード様!」
「ていうか魔王様ってどんな方なんですか!?」
わいのわいの、屈強な魔物たちから声が上がる。魔王軍の指揮は、すべて右腕のテオリード様が中心になって行ってきた。よって、魔王様本人のご尊顔を賜ったことは一度もないのである。
どれほど恐ろしく姿、あるいは美しい姿の魔物なのだろう。自分達のトップに立つ存在なのだから、自分達の誰よりも強い力を持っているに違いない。
「あー……魔王様は、我らの誰よりも凄まじいパワーを持っているお方だ。だからこそ、ご機嫌を損ねないよう最大の配慮をせねばならん」
長い髪、鋭い角、紫の肌を持つテオリードは、何故か明後日の方を見て俺達に言ったのだった。
「以前、お迎えに上がったダーク小隊の者達魔王様のお怒りに触れ、消し炭になってしまった。お前達はそのような失礼のないようにな」
「は、はい!」
あのダーク小隊が壊滅するほどの魔力とは。
俺は恐れおののき、同じだけ高揚したのだ。武人の性とも言えよう。
強い者と相対することは、いつだって心躍るのである。
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