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「うげぇ気持ち悪っ……こんなになったの久々だなぁ……」
街の片隅で、ツキは顔色を悪くして横になっていた。
周囲では「群れ」の数匹が当たりを見渡し、近寄る者がいないか警戒していた。最もペタルデスだけは、明らかに普段よりも動揺していたが。
「どうしよどうしよ。ツキ様死んじゃうよ。
大丈夫でしょ。死んじゃっても三回までは平気なんじゃないの? 」
「それは貴女だけですわ」
ベルベットがぴしゃりと言い放った。
「力の使い過ぎです。回復には人間の肉を食べるのが一番ですが……喉を通るかどうかが気になりますわ」
「うーん、正直言って、しばらく肉なんて見たくないんだけど……食べなきゃ死ぬんじゃ仕方ないよなぁ」
ツキは小さく唸りながら答える。
「じゃあじゃあ、ボク達で取ってくる‼︎
どんなのがいい? 子供? おじさん? それとも大人のお姉さん? 」
「柔らかい子供がいいだろう。適当に見繕って来い」
アイオネルの提案に、ペタルデスは「はぁい」と答えた。
そして元気よく足を動かしながら、人の住む場所へと駆け出した。
ウゥゥゥゥ……
そんな彼女を見つめる視線があった。
黒い体の、小柄な獣であった。
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