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同じような昨日を過ごして、同じような今日を迎えて、同じような明日を待っているものとばかり思っていた。同じような日常を過ごして、同じ速度で明日に向かっているとばかり思っていた。
実際、日常の中にいたのは古谷だけで、友海は非日常の中を古谷とは違うベクトル、違うペースで生きていた。
海外遊学という彼女にとっての非日常が、日に日に彼女を日常から連れ去って行ってしまっていた。そんな気がした。
彼女の非日常が日常に変わる日。
そう遠くない未来。
古谷はそうなってしまうことが恐かった。
自分と過ごした彼女の日常が彼女の非日常に上書きされてしまうことは、自分の生きてきた人生さえも間違っていたということに値しているように思えた。
非日常が、日常を上書きする
その言葉が頭の中で反芻されていた…
それと同時に新たな思いが芽生えた。
彼女の非日常を上書きすればいい。
その考えに至るのに、時間はかからなかった。
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