ウワガキされた世界でもキミを

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❇︎❇︎ 今年ももう残すところ、両手で数えられる程度になっていた。 クリスマス色に染まった街を通り抜けて、郊外へと車を走らせる。 頭上に鳴り響く轟音の頻度が増し、それは古谷の胸の高鳴りと共鳴しているようだった。 国際線ターミナルの前に車を止めると、そこには友海がいた。 まったくと言っていいほどに会っていなかったが、久しぶりの感覚ではなかった。 「お母さんから俊が迎えに来てくれるって聞いてたんだけど、本当だったからびっくりしちゃった!」 「まぁ、免許取ってから運転したい欲が強くてさ! しかも、夜の空港なんてわくわくするじゃん?」 「へ〜、免許取るとそういうもんなのか〜。にしても、かなり久しぶりじゃない?こうやってまともに話すこと自体。」 違う。あの人、友海との関係は終わっていた。友達免許証から名前が消えたあの日、すでに終わっていた。 彼女と古谷の過ごした日常は、あの日、彼女の非日常に飲み込まれた。戻るはずなんてなかった。   彼女との非日常を生み出すまでは… 彼女との続く未来を想像できた日、彼女と過ごす未来を描き切れた日、その描けた未来は、その時の古谷にとって、まだみたことのない景色だった。 日常ではない。それは、古谷にとっての非日常だった。   非日常が、非日常を上書きする… だから、今日は久しぶりの再開の日なのではなくて始まりの日である。 描いた非日常が、日常に変わるための始まりの日。
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