エリカ・J・J

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「三人のエリカ」 エリカ6歳 エリカは小学校には行っていない。 もちろん幼稚園にも行かなかった。 真子が、自分達の素性を知られる事を極端に恐れたからである。 家族からの捜索届けが出ているかも知れない。 探偵を雇って連れ戻そうとしているかも知れない。 真子が一番恐れているのは、エリカの存在を知られる事。 エリカの素性を知られる訳にはいかなかった。 日々の生活に於いても、近所で怪しまれているような気配を感じれば、直ぐに引越をした。 今のアパートも6回目の住まいである。 名前も偽名である。 本当の名前は忘れてしまった。 ある日、真子はエリカと遊園地に行くことになった。 真子のアルバイト先の後輩が、彼氏と行く予定だったのだか、彼氏の仕事の都合で行けなくなったので、チケットをくれたのだ。 しかも、乗り物券付きのお得なチケットなのだ。 エリカにとっては初めての遊園地。 昨夜は興奮して眠れなかった。 真子は早朝からお弁当作り。 寝不足で我慢できずに、二人は行きのバスではぐったりと眠ってしまった。 それでも、寝過ごす事もなく無事遊園地に着いた。 遊園地の名前は、 Tokyo オアシスランド 埼玉県にあるのにTokyo。 Tokyo あるあるです。 この遊園地は、人気のアトラクションが幾つかあって、平日だと言うのに混雑していた。 午前中は、メリーゴーランド、コーヒーカップ、観覧車に乗った。 昼食は芝生広場にシートを広げて、真子の手作り弁当を食べ、青空の下、楽しい時間を過ごした。 お弁当を食べている時、向かい側に自分達と同じような家族がいた。 母と女の子の二人。 女の子はエリカと同じような歳の子(?)だ。 エリカは6歳だが、小学6年生ぐらいの身長がある。 お互いしゃべる事はなかったが、軽い会釈を交わした。 午後は、まずボートに乗る事にした。 ボートといっても足で漕ぐスワン型の物である。 慣れない事もあり、必死で頑張って漕いでも、余り前に進まなかった。 二人はへとへとになかった。 寝不足もあってか、二人は早く帰ろうと相談し、次の乗り物で最後にしょうとなった。 二人は、ジェットコースターに乗る事にした。
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