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「冗談だよな」
はははと笑いながら誤魔化してみる。そうだ、あたしが可愛いなんて言葉当てはまらない。バカで単細胞で、ゴリラなんだからな。ニマニマした顔なんか気色悪くて虫唾が走るに違いない。
「嘘ではないよ…?」
「信じない」
「え、言われたことない?」
「恐ろしい顔と言われたことは」
「えぇぇ、もう少し自覚したほうがいいと思うなぁ」
「ゴリラ顔っていうのは分かってる」
「ちっがーう!」
華はなにやらぶつぶつ呟きながら、手を顎に当てた。そんなふうに、色々と雑談しながら幼稚園へ歩いていった。幼稚園に着いて、双子を迎える。
「こんにちはー小篠です。美羽(みう)と友羽(ゆう)迎えに来ました」
「小篠さん、こんにちはー。ちょっと待っててくださいね。今連れてきますので」
園の保育士さんが玄関まで来て、にこやかに挨拶し、また引っ込んでいった。すると、ぱたぱたと走ってきたのは小さな女の子、美羽だ。そしてその後ろからぽてぽてとついてきた小さな男の子、友羽。
「ひなねーちゃん!」
「ねーちゃん」
「帰るぞ~美羽、友羽」
「はーい!!」
手を差し出すと、直ぐにつないでくる美羽、友羽。それはそれはかわいくて、顔も自然と綻ぶ。すると、直ぐ横にいた華を見て、美羽が声を出した。
「ひなねーちゃん!こっちのおねーちゃんはだあれ?」
「この姉ちゃんは、柊那姉の同級生。華姉だ」
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