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その言葉を聞いて、美羽はぱあっと顔を輝かせた。
「ほんと!?やくそく!」
「うん!」
二人でにこにこと指切りを交わして、美羽と友羽は家に入っていった。家には中学生の妹、歩寧がいるから、見ていてくれるだろう。
「じゃ、送る」
「え、いいよ。悪いし。」
「ここら辺、治安が良くないの、知ってて言ってるか?」
「ゔ……」
「ん、いくぞー」
渋々理解したようで、華とまた歩き出す。15分くらい歩いたところで華の家に着き、家の雰囲気に納得した。そこは小さな賃貸の棟で、凄く古そうな佇まいだ。あたしんちはもっと酷いありさまだが、広めの一軒家だ。この棟の一室がこの子の家なんだとしたら、家族で住むにはとても狭いんだろうな。
そんなことを考えてるとき、ふいに華が話始める。
「今日、本当にありがとうね。すっごく楽しかった。」
「おう。あたしも。双子も喜んでくれて嬉しかったしな」
「あと、一番言いたかったこと。あの時、私のためにあの人に言ってくれて、ありがとう。私、やっぱり怖かったから…、柊那ちゃんがいてくれて本当に救われたんだよ」
「あれくらいなら、いくらでも追い払える。これから、気をつけろよ?」
あとなんかあったらあたしに言え、と伝えて、歩き出す。後ろでまた明日!とか聞こえてきて、少し心が暖かくなった。
4月。春の陽気はまだ続きそうだ。
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