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授業が終わって、昼休み。華と何気ない会話をする。
「最近、よく絡まれるよね、柊那ちゃん…」
箸をおいて、心配そうな顔を向けてくる。あの初日の騒ぎ以来、どうやらあたしは生意気認定されたらしく、ここ2,3日やたら突っかかってくる輩たちがいた。まあでも、それも今日は少し落ち着いてきている。多分敵わないと分かってきたんだろう、むやみにケンカを吹っかけてこなくなってきた。
「悪いな。巻き込んじまって。」
「えぇ!そんなのこっちがお礼を言いたいよ!だっていつも助けてくれるじゃん」
「いや…華、多分あたしといるから巻き込まれてるって、自覚ある?」
「それは…分かってるけど、私一人になったらどっちにしても危ないと思うの。それに、いつも一緒にいるのは、私が柊那ちゃんを盾にしたいから。かもしれないよ?」
そう真剣な顔で、自分を悪く言い始める。華は少し自分を悪く言う所がある、ここ数日話していて少し気が付いた。ただ、それは彼女の優しさからくるものだと、あたしはそう思っていた。真顔で聞いてきた彼女に、あたしはこう答える。
「利用できるもんがあるなら、使うべきだ。それで自分の身が守れるなら、万々歳だろ。」
「でも…」
「それに…」
茶を一口飲んで、あたしはこう続けた。
「あたしは強いから、大丈夫だ。何の心配もいらない。」
「もう…そうやって、いつも言うんだから。もしも本当に危ない目にあったらどうするの!」
「そんときは逃げる。全力で。」
箸で卵焼きを口に放り投げ、もぐもぐ。ごくんと飲み込んでから、また付け足す。
「あたし逃げ足自信あるし。」
「確かに、足早かったよね…」
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