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「にしても、柊那ちゃんって、小さくてかわいいよねぇ!」
「ちっこくないし」
「あ、気に障ったらごめんね。そうじゃなくて、なんかこう…守ってあげたくなる感じ!」
「あたしはそんな柄じゃねぇ」
「だよね!話してそう思ったよー!」
はにかみながらそういった華は、何だか眩しく見えた。少し嬉しそうにそう言ったように見えた。
「強い方が好きか?」
そう尋ねると、彼女は少し不安そうな顔をして、俯く。
「この学校、怖い人たち多いし…」
「そう、だよな」
普通はやっぱ怖いだろうなと、この子に少し同情した。何の力ももたない、かよわい子からしたらライオンの檻に放り込まれた小動物状態だろう。
「でも、大丈夫!柊那ちゃんなんか、言い負けなさそうだし!」
「初対面であたしを使うのかよ…」
少し呆れた顔を見せて、笑う。もちろん、目の前で危ない目にあってたら助けないなんてことはしない。でも、いつでも助けてあげられるわけじゃない。
「流石に盾にはできないから、体術面は私に任せて。」
えっへんと胸を張りながら、自慢げに拳で胸を叩いた。ちょっとだけ揺れるそれを眺めた。…別に、小さくないし。
「任せてって…なんか武術とかできんのかよ」
少し心配になってそう尋ねた。すると彼女は何と、カバンの中身を見せてこう言った。
「防犯グッズ準備してきたの!これなら、いざと言う時何とか戦える…だから、これで柊那ちゃんも守れる!体格も、柊那ちゃんより私のが分がいいし。」
折り畳み式のスティックを広げて、手に構えてそう堂々と言い張った。こんなもので何とかなるほど、甘いやつらばかりではないだろう。そう分かっているから、なおさらあたしは、この子からなるべく離れないようにしようと心の中で小さく誓った。
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