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飛んできたヤツの手を何の気なしに受け止める。
「おそっ…どっちが舐めてんだかな」
「…………っっっ!!!」
それを聞いた黒リーゼントは顔を真っ赤に染めた。タコみたいなかおをして、腕を引こうと力がこもった。しかし、力を入れても、ぐぐぐ……と腕が震えるだけで、全く動きがない。
周囲は固唾を飲んで見守っているようだ。誰も手出しをしてこない。これはもう、奴の耳を持ってくるしかない、そう思って、腕を手前に引っ張る。すると、奴の顔が真横へ。近くなったヤツの耳元に、顔を近づけて口を開いた。軽く殺気を込めて。
「———————————……わかったか?」
横で必死になって首を縦に振るのを見ると、腕を離した。顔面蒼白になって、ドスンと床に項垂れるのを横目で見て、右手で花の手を引いた。
周囲の輩も空気が戻ったかのように、最初と同じように話し始めた。
「ひ、柊那ちゃん……!大丈夫?!怪我は?!」
「無傷」
「ほ、本当に……?」
まるで信じられないものを見せられたかのように、彼女は目を見開いている。ひとまず落ち着いてもらおうと、席に座るよう促す。
「ほら、座りな」
「う、うん…」
どうやら、あたしがこんなに肝が据わってると思わなかったんだろう。かなり動転している。慣れないヤンキー校に初めて来て、さっそくトラブルになるかと思ったら、無事で。きっと、彼女は今日一番疲れているに違いない。
「帰ったら、しっかり休みな。」
「え、う…うん。ありがとう。」
そう話した直後、教室のドアがガラガラっと音を立てた。姿を見せたのは、さっきのヤンキー教師。何だか眠そうにあくびをしながら入ってきた。
「ふぁぁ……。」
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