6人が本棚に入れています
本棚に追加
教卓の前までくると、だるそうに口を開いた。
「えー……あ~。入学式終わったんで、帰ってよろしい。」
「……。」
生徒皆が愕然としている。まるでさっきの教師と別人みたいにかったるそうだ。しかし、怒らせると怖いのはさっきの入学式でわかっている。誰も動こうとしない。
「ま、そうだよな。明日からの授業の予定やらなんやらと、配んなきゃなんねぇ。色々めんどくせぇ…っつーことで。」
そういいながら、後ろを向いて、黒板に何やら書き始める。再び前を向いて、また口を開いた。
「つーわけだ。学級委員決めるぞー」
書かれていたのは学級委員。普通定番と言えば自己紹介だろうに、この男はどうやらどうでもいいらしい。
「やりたいやつ手上げろ」
「(シーン)………」
「今ならもれなく…」
ごくり…という音が響く。
「英語の練習プリントを100枚くらい進呈するぞー」
「……」
いらねぇ…と、絶対誰もが思ったに違いない。そもそもこんな学校に入っといて勉強なんかするやついねぇだろと、思ったが、小さく手が上がっている。細くてひ弱そうな眼鏡君だ。
「んぉ。お前か。なんだぁ、プリント欲しさにやりたかったのかぁ~仕方ねぇなー!」
「ち、違います。」
「隠さなくたっていいんだぞ」
「本当に違います」
「つれねぇな。まいーや。後、よろしくー」
最初のコメントを投稿しよう!