たとえ見えなくなったとしても

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 そんなある日のこと。リリーはとある空き地にて、風を起こす練習をしていた。 「そおれ、えい!! ああ、また草しか動いてない……。」  まだ弱い風しか吹かせられない事に不満を抱きつつも、何度も何度も練習を繰り返す。すると、背後から一人の男の子の声が聞こえてきた。 「ねえ! 君、風を吹かせることができるの? すごい!!」  しかし、声をかけられたリリーはビックリ仰天する。なぜなら、両親に人間は自分達のことが見えないと教わっていたからだ。 「え? 私の事が見えるの? 私、妖精なのに?」 「もちろん見えてるよ、妖精さん! さっきから風をピューピュー吹かせているのも全部見てた!」  その男の子は目を輝かせてリリーの方をまっすぐに見つめた。
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