たかが5パーセント

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大学を出た大通りを真っ直ぐ西に進んで、ひとつめの角を左に曲がる。住宅街を抜けて細い路地に入った先に、その小洒落たマンションが佇んでいる。 相良(さがら)の家に上がるのは、これで3回目。 上がるといっても何も2人きりではない。男3人、女3人。全員 同じ科の見慣れた顔ぶれ。夏季休暇を目前に出された課題をやり遂げるという、至って健全な集まりだ。 「なー相良、なんか飲みもんある?」 ふいにかけられた声に冷蔵庫の中身を確認した相良は「水くらいしかない」とぼやく。それでいいと言った原田(はらだ)に、ミネラルウォーターを手渡していた。 「仁科(にしな)は?飲みもん持ってる?」 なんの前触れもなく掛けられた声に微かに肩が揺れた。 上は白いTシャツ、下はグレーのスウェット姿というラフな出で立ちの相良がペットボトル片手に私を見下ろしている。どうやら相良は家の中では部屋着で過ごしたいタイプらしい。1回目も2回目も、家に着くや否や、すぐに着替えていた事を頭の隅で思い出した。 きっと此処に来なかったら見れなかった姿だろう。そう思うと、胸のあたりがキュッとなった。 「うん。さっき買ってきたから大丈夫」 「りょーかい」 平然を装ってそう言った私にくしゃりと目尻を下げて破顔する。その笑顔を見るたび、飽きずに胸が高鳴る。
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