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素敵な出会いがなければできなかったことだ。
今までと同じミルヴェイユではできなかったこと。美冬だからできたことだ。
「お! すげー! いいじゃん!」
バックパックにパーカー、ジャージ姿でバックヤードパス用のシールを太もものところに貼った槙野が美冬に声を掛けにきた。
「祐輔! いつ来たの?」
「今だよ。スタッフに入れてもらった」
ぺったりと貼ってあるシールはまるでデザインされているようだ。
「槙野さん、そんな姿すると若く見えますね」
にっこり笑ってそう言った石丸に槙野も笑顔を返す。
「見える、とはなかなか言ってくれるよな」
「それでもそのジャージとんでもない金額しますよね。その辺のやつじゃないでしょう?」
「金額は気にしてないが、行きつけの店で勧められたんだ」
槙野の着ているそれはブランドものだと思えばそんなものかな?ではあるが、ジャージと思うと確かにとんでもない金額ではある。
それでも着こなすことができるのが槙野なのだ。
「若作りしてるって思われるのはオッサンくさいわよ」
「ああ? 若作りなんてしてねーよ。オッサンとか言うなよ」
槙野はからかう美冬の額をピン!と指で弾いた。
他から見たらイチャイチャしているだけの二人だ。
そんな美冬も今日は動きやすい格好である。
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