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「ええ。美冬さんの答え方から、ご存じかと思いました。キラキラしたお目目で『宿題をお持ちします!』とか言うからうちの社長はさすがだなあ……と」
キラキラしたお目目って……。
杉村にはそんな風に見えているのか、と思う。
しかし、話の内容から美冬も察する。
「眼鏡の人か……。割とあの中では若い方だったよね」
「そうですね。若きエリートとして有名です。あの年齢で小規模ながらもベンチャーキャピタルを運営されているのですから、相当なやり手ですし、お金持ちですよ」
「まあ、整ったお顔をされていたわよね」
あの時のことを思い出しながら、美冬はため息をついて、パソコンをバッグに片付けた。確かに優しそうに見えるけれど、切り捨てるべき時は切り捨てる判断力もありそうだった。
あの人多分、笑顔で人を切れそう……。
「すごくモテるみたいですね。私は好みじゃないけど」
そんな風に杉村がさらりと言うのに石丸の方が反応している。片付けの作業の手を止めて、その王子様のような顔が美冬を見た。
「え? 美冬、彼みたいなの好みなの?」
「そういう風に見てないから。それよりも落ち込んだよ。頑張っているつもりでも全然ダメダメなんだなー」
その時、美冬の頭にあの目つきの鋭い男性の言葉がリフレインしてきた。
「シナジーってなに?」
「相乗効果ですね」
さらりと杉村に返される。
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