2.ご褒美をくれると言ったくせに

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「理恵さん、気づいてた?」 「まあ……。でもうちは困っているわけではないですし、それで美冬さんがお勉強になるかな、とも思いましたし、上手くいったらラッキーくらいの感じで」  杉村は淡々としている。 「すっごい、お前アホかみたいな目で見てたわね」 「そうでしょうか? そんなことはないと思いますよ」  けれど、美冬はきっとダメだったんだろうと落ち込んでいた。 『次があれば』なんてシビアすぎる。  なでなで、と杉村が美冬の頭を撫でた。 「美冬さんは頑張りましたよ。元気出して。美味しいものごちそうしますから」  美冬がきょろん、と上目遣いで杉村を見る。その可愛さにさすがの杉村も怯んだ。 「元町ヴィラ……」  可愛い口からこぼれ出たおねだりだ。  それは予約の取れないことで有名なレストランの名前である。 「却下です。とり政ですね」  可愛らしい美冬に惑わされそうなので、杉村はさっと目を逸らして早口に伝えた。 「えー!? 頑張ったって言ったじゃーん!」 「今から予約なんて、取れないでしょう? それはコンペ成功の時まで取っておきましょうね」  そう言ってにっこり微笑まれたら、美冬に返す言葉はなかった。
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