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実際何かあったらそんなものでは防げないのだろうが。
胸ポケットから名刺入れを取り出した彼はきょとんとしていた。
「どうした?」
「……いえ、なんでもないです」
取り出したのはブランド物の高級な名刺入れだ。そこから彼は名刺を出して美冬に渡した。
美冬はバッグを足元に置いて、名刺を受け取り確認する。
『グローバル・キャピタル・パートナーズ、副社長、槙野祐輔』
(副社長!? 副社長だったの!?)
「全部、感情が顔に出ているぞ」
呆れたような声が頭の上から降ってくる。
「す……すみません」
「まあ、とっても怯えてたみたいだが? 一応こんな肩書きなんで良かったら見るけど? その胸に大事に抱えてる企画書」
「お手を煩わせてしまうんじゃないです?」
「時間あるから構わない。見てほしいなら来い」
とりあえず、得物は出てこなかったので美冬はお願いすることにした。
なにせ、進退がかかっているのだから!
──この人が苦手とかそんなことは言ってられないのよ!
槙野はその場で受付に言って、副社長室に案内してくれた。
イメージ通りのシンプルでモダンな内装で入ってすぐの応接セットのソファを美冬は勧められる。
そこに美冬は座って槙野が書類を確認するのを見ていた。
美冬の企画書を見ながら、槙野の眉間にぐっとシワの寄るのを美冬は見たのだ。
怖い!
「悪くはない」
(悪くはない顔それなの!? 海に沈められるかと思ったんだけど!!)
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