15.ま、まさか加齢sy……

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「祖父のお知り合いでしたか」 「はい。美冬さんがミルヴェイユを継がれる際に紹介してほしいとお願いしていたんですが、行いが悪かったのか、会わせるか! と笑われてしまった。」  祖父らしい。  美冬はくすりと笑う。 「こんなに可愛い方だったのなら、紹介して欲しかったのに。ご婚約されたとニュースリリース見ました。おめでとうございます」 「ありがとうございます」 そう言って美冬は目の前の国東に頭を下げた。 「お相手がグローバル・キャピタル・パートナーズの槙野さんではとても敵わないからな。片倉社長はまた別格ですけど、僕らみたいな若手の経営者でアクティブな人は実は限られていて、非常に狭い世界なんです。その中でも槙野さんはおモテになるし、有名ですからね」 「そうなんですね」  そんな気はしたけど。  一見迫力のある見た目だけれど、顔立ちも整っていなくはないのだし、押しの強い感じが好み、という人にはたまらないだろう。 「噂をすれば、だな」  槙野が足早に会場に入ってくるのが見えたのだ。  美冬を見つけて、槙野が大股で近づいてくる。 「国東さん」  その声は槙野の声だ。  美冬はあれ?と思う。  その声を聞いて、すごくすごく安心してしまったのだ。 (私、心細かったんだな)
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