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こ、こんな風に告白するつもりじゃなかったのに!
ガーデンでいい雰囲気の中、指輪を……。もう、本当に思い通りにいかない‼︎
美冬はまだ赤い顔で、槙野のことを上目遣いでじっと見る。
「だって、落ち着かないとか言うし……」
「それは落ち着かないだろう。可愛すぎるんだお前は。好きな人の前で落ち着いていられるやつなんかいるかよ」
「え? 落ち着かないってそういう意味?」
あちこちからヒューヒュー囃し立てる声やら、指笛の音やら聞こえる。
もう槙野は腹を決めた。
「俺が結婚したいと思うのは美冬だけだ。大事にする。嫁に来てくれ」
その場に片膝をついて、槙野は今日一日ポケットに入れていたケースに入った指輪を差し出した。
今更、美冬は嫌とかダメとか言わないと思うのだが、それでも槙野の胸の鼓動は大きくなり今までにないくらい緊張した。
美冬は涙が浮かんでしまったのか、指できゅっと目元を拭う仕草して、その後思いきりの笑顔になったのが見えた。
──くそっ、可愛い。なんで、泣くんだよ。
槙野はもらい泣きしそうだ。
けれど、美冬の見ている方まで幸せな気持ちになりそうな笑顔を見て、絶対にこの笑顔を忘れることはないだろうと槙野は確信した。
そんな笑顔にすることが出来たのが自分だったのだと思うと、誇らしい気持ちになったからだ。
「うん。私も好き。私も大事にするね。お嫁さんにして」
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